君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
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和泉はその不満の中、今日まで過ごした。
そして、不意に聞こえた李人の名に反応し、いつもは特に話しかけない女子生徒達の会話に入った。
「せ、瀬名君も、橘 李人に興味あるのっ?」
声を高くし、頰を染めながら嬉しそうに女子生徒は和泉に尋ねる。
昔から、大抵の女性は和泉にこういう反応をするが……….和泉にとって女性は"あれ"が"彼"の身に起こってから嫌いな人種だ。
しかし時折、彼女らはしつこく"好き"だの付き合って"だの言ってくる。
なので、和泉はそのような場合………欲望の処理として、彼女らを"使う"。
つまり、和泉にとって女性は"とことんその存在を無視する"か"欲望の処理として使う"かの二択だ。
しかし、 その例外が優葉だった。
優葉だけは………どんなにその存在を無視しようと、しつこく食い下り、更に和泉の頭を占めてしまう。
「………とんでもない女」
ふと、和泉は女子生徒の質問に答えずそう呟いていた。
「え?」
「………何でもない。 そいつにも興味ない。あるのは、物珍しい映画の撮影の方。 つべこべ言わず早く見せて」