ミントブルーの純情
◇
「ちょっとまって、」
「待たねえよ」
「ねえダメだってば……」
「そんなこと言われても無理」
「あ……死んだ……。み、みつのバカーー!」
“ゲームオーバー〟の文字を見てコントローラーを思わず投げつけると、「いってえな!」ってみつが私を睨んでくる。
久しぶりにテレビゲームを始めたけれど、いつも友達とやってるみつに勝てるはずもなく。手加減してって言ってるのに、全然聞いてくれないんだもん。
「おい、あお。そんな拗ねるなって」
「拗ねてないし」
「拗ねてんだろ」
バトル式のテレビゲームだけど、こんなにコテンパンにやられるなんて聞いてない。
「拗ねてない」
「ほんとに負けず嫌いだなー」
「……そんなことないし」
「いや、あるだろ。おまえいつも頑張ってるし」
「頑張ってるって、何」
「勉強とか。……陸上も。」
みつが気まずそうに、また手元のコントローラーをいじりはじめる。私はソファに座って、みつが一人でプレイしているうしろ姿をなんとなく見つめる。
確かに私は負けず嫌いだと思う。
でもそれは、いろんなことに不器用に生きてるからなんだ。みつみたいに器用だったら、こんなに頑張らなくてもいいのにな、っていつも思う。
勉強も、人付き合いも。……陸上はもう、やめちゃったけど。
まあでも、みつだって努力してることは知ってる。大好きなバスケと大嫌いな勉強を両立させてること、ほんとはちょっとだけ尊敬してるんだ。