ミントブルーの純情




「ちょっとまって、」

「待たねえよ」

「ねえダメだってば……」

「そんなこと言われても無理」

「あ……死んだ……。み、みつのバカーー!」



“ゲームオーバー〟の文字を見てコントローラーを思わず投げつけると、「いってえな!」ってみつが私を睨んでくる。

久しぶりにテレビゲームを始めたけれど、いつも友達とやってるみつに勝てるはずもなく。手加減してって言ってるのに、全然聞いてくれないんだもん。



「おい、あお。そんな拗ねるなって」

「拗ねてないし」

「拗ねてんだろ」


バトル式のテレビゲームだけど、こんなにコテンパンにやられるなんて聞いてない。


「拗ねてない」

「ほんとに負けず嫌いだなー」

「……そんなことないし」

「いや、あるだろ。おまえいつも頑張ってるし」

「頑張ってるって、何」

「勉強とか。……陸上も。」


みつが気まずそうに、また手元のコントローラーをいじりはじめる。私はソファに座って、みつが一人でプレイしているうしろ姿をなんとなく見つめる。

確かに私は負けず嫌いだと思う。

でもそれは、いろんなことに不器用に生きてるからなんだ。みつみたいに器用だったら、こんなに頑張らなくてもいいのにな、っていつも思う。

勉強も、人付き合いも。……陸上はもう、やめちゃったけど。


まあでも、みつだって努力してることは知ってる。大好きなバスケと大嫌いな勉強を両立させてること、ほんとはちょっとだけ尊敬してるんだ。


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