ミントブルーの純情


お義母さんがテーブルにコトリと小さな箱を置いた。ネイビーブルーの小物入れ。丸いシンプルなその箱を、お義母さんがゆっくりと開けた。


「……きれい」


思わず声が出た。

少し緑がかったような淡い水色のガラス玉がついたネックレス。朝の光に反射して輝くそれはとても美しくて綺麗だった。思わず吸い込まれてしまいそうなほど。



「ね、綺麗でしょう。光葉(みつは)が生まれた時に買ったのよ」

「え……」

「このガラス玉ね、トンボ玉とも言うんだけれど、トンボ玉にはたくさん意味や効果があるのよ」

「意味や、効果?」

「そう。たくさんある中の一つが“素直な気持ちを取り戻す〟」



ドクリと、心臓が跳ねた。お義母さんはいつものように笑いながら私を見る。全部見透かされているようで、何も言えなかった。

言ったら、ダメだと思った。



「本当は、みつはって漢字『葉』がついているから、ミント色を買う予定だったのよ。でも、ちょうど売り切れでね。……たまたま近くにあったこの色に一目ぼれして買ったのよ。ミントブルー。綺麗な色でしょ?」

「ミントブルー……」

「そうしたら、再婚相手の娘の名前が『碧(あお)』って言うんだもの。……運命って本当にあるんだなあって思ったわ」

「……みつがミントで、私が、ブルー……?」

「そうよ。……ねえあおちゃん、どんな形でも、みつも、あおちゃんも、私の大事な子供よ。忘れないでね」



< 38 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop