ミントブルーの純情
朝から二回も心の中で「ばあか」なんて言ってしまったことに少々罪悪感を覚えつつ、鏡の前に立ってすばやく髪の毛をセットする。
ストレートアイロンとコテの二本使い。高校生になったときから私の髪型はずっと変わらない、肩下ボブ。
前髪は眉より少し下、アイロンで整えるとちょうどいい。
「おい、あお。そんな色気づいてっと遅刻すんぞ」
今日の髪型の出来に自分で満足していたら、また後ろからみつが顔を出す。鏡に映ったみつの顔ってなんだかすこしおもしろい。
「はいはい、私のお弁当持ってよねー」
「はあ? 自分で持てよそれくらい」
「なんでよー、みつは私の荷物持ちじゃん」
「悲しいもんだよな、華のセブンティーンにもなって荷物持ちになってくれる彼氏もいねえとか」
「うるっさいなー、そっちこそ彼女いないでしょ。お互い様」
「俺は作らないだけ。作れないあおとは違うっつの」
鏡越しにみつを睨むと、ニヤッと笑みを浮かべて去ってく。もう、なんであんなに生意気なの? 小さい頃は「あお」って無邪気な笑顔で私の名前を呼んで、いつも後ろに引っ付いていたっていうのに。