クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
子供たちの午睡中、事務室で午前中の活動記録を作りながら、原本先生がくすくすと思い出し笑いをする。


「お父さん、熟睡でしたよ。かわいい」

「お天気よかったしね」

「律己くんも元気でしたし、あのまま預かって、お仕事に行かせてあげたかったですよね」


撮った写真をプリントし、切り抜いてスケッチブックに貼る。全部の子が写っているか、念のため数えて確認する。


「それができればね…」

「途中から預けるの、なんでダメなんでしょうね?」


わからない。本部の規則で、半端な時刻から預かるのは原則NGなのだ。


「それをOKしちゃったら、きりがないからだろうね」

「でも、預かれませんって言って保護者に罵られるの、結局私たちじゃないですか、いいですよね、規則を作る方は気楽で」


原本先生の率直な怒りには共感する。

だけど規則がなかったら組織は動けない。例外は認めだしたらきりがない。

どちらの立場もわかる。


「私たちって、誰のためにいるんだろう」


思わず漏らしたつぶやきに、原本先生はきょとんとした。


「子供たちでしょ?」


私はひとりひとりの写真の下にサインペンで名前を書き入れ、活動内容を日記風に書きながら、そのシンプルな回答を頭の中でこねくり回した。


「そうだね」

「ほかにあります?」


少し考えてから、首を振った。

そうだね。きっと突き詰めたら、ほかにはない。

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