クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
うーん?

子供らしい、間違った点と点をつなげて線を描いてしまった系の勘違いかな、と思い、微笑ましい気持ちで有馬さんを見た。

彼は笑っていなかった。

愕然とした、とでもいうのが一番近いような、強張った顔で、息子を見ていた。

すぐに私の視線に気づき、はっと表情を取り戻して、律己くんの肩を叩く。


「莉々ちゃん、ひとりになっちゃってるから。行ってそばにいてやれ」


律己くんはこくんとうなずき、事務室のほうへ戻っていった。

背後の窓を、断続的に風が叩く。

明るくなった分、その凶暴さはより増して感じられるようにも思える。


「あの…」

「律己は姉の子です」


フローリングの上に座り込んだ有馬さんが、うつむいたまま言った。


「えっ…」

「俺は律己の父親じゃありません。血縁上は叔父です。養子縁組をしているので、現状、戸籍上は父親ですが」


静かな横顔と、不釣り合いな子供向けの装飾が施された室内が、まったく調和していなくて、まだこれ夢の続きかな、なんて気もしてくる。


「別に隠す気もなくて、ただ本人はまだ理解できないだろうから、特に言ってはいなかったんですが」


その顔が、かすかに陰って、


「なにかの会話を聞かれたかな…」


痛みを伴っているような、苦い笑みが浮かんだ。


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