君が見せてくれた、私の世界
「…想世架。」


「……。」


「想世架が人と関わるのが苦手なことくらい、パパだって分かってるよ。
でもね…生きていくには必ず必要になることなんだ。」


「…!」



パパが想世架って呼ぶ時は…真剣な話をしてるときか本気で怒ってる時だけ。


今のパパは前者だけど…私と真剣に向き合おうとしてるんだ…。



「特に想世架みたいな子は。
もし、想世架が1人でいる時に転んで車椅子から落ちたらどうする?」


「……どうしよう…。」


「確かに困るよね。
でも違う。
…誰かに助けを求めなくちゃならない。
車椅子に乗せてください、って。」


「…!」



私は…1人で車椅子に乗ることも出来ない。


自分の腕が届かない所のものは…取れない。


……出来ないことが、普通の人より多い…。



「高いところのものを取る時も、想世架が取れる範囲は決まってるよね?
それだったら、取れる人に取ってくださいってお願いしなきゃならないんだ。」



人より出来ないことが、多いから…その分、人に助けてもらうことが増えるから…。


…普通の人より、人と関わらなきゃならないんだ…。



< 10 / 312 >

この作品をシェア

pagetop