ハニー♡トースト


朔弥が食堂に入っていったのを見届けて、厨房に入る。


土曜日なので、お昼もほとんどの使用人さんと一緒に食べる。


「…ひなちゃん、美味しくない?」


「へ?」


前に座っている百合さんが、不安そうに聞いてくる。その隣に座っているシェフの森さんもチラッとこちらを見ていた。


「なんだか、顔色が優れないから…体調悪い?」


「いえっあの、本当に美味しいです!体調も、大丈夫です」


「そう?ならいいけど…」


「今日は嬉しい日でしょー?特にひなにとっては。どうしたの、なんか落ちてるけど」


隣に座るカナさんがそう言って顔を覗き込んでくる。


そうだよ、今日は初めてのお給料日だし。あの悪魔にこき使われて辛かった日々が今日報われると言っても過言じゃないでしょ?


朔弥の顔が、浮かぶ。


…それなのに、どうして私がこんな気持ちにならなきゃいけないの。

< 54 / 233 >

この作品をシェア

pagetop