君の瞳にわたしが映っても(完)

しばらくして落ち着いた頃、わたしは隣の席でいちゃつくカップルを見て、一気に現実に引き戻された気がした。


「ねえ、本当に大丈夫なの?」


ただでさえ男女二人でカフェは色んな意味でやばいのに…彼女もちとなんて…論外。


浮気、じゃんか。


「柚知ってるからダイジョーブ。」

「知ってて大丈夫って…」


それは、白石さんが気持ちを隠す人だから、平気を装って言ったんじゃないの?


相川が、白石さんの控えめな性格を一番知ってるんじゃないの?


いくら相川が好きだって言っても、そんな、デートは…さすがにやばいって、理性がしっかりと危険信号を出している。


白石さんの味方をしたいわけでもない。むしろ、ライバルの肩を持つなんてもってのほかだ。


わたしはただ……いつだって他人想いの相川が、汚れて欲しくなったから言ったんだ。


だってわたしの好きな相川は…



彼女にバカみたいに一途な幼なじみだから。




< 53 / 272 >

この作品をシェア

pagetop