彼の笑顔に出逢いたい
「またって…。でも花乃ちゃんって確かに迷子になってそうだよね。」


そう言ってクスクス笑う奈緒さん。

どうせ私の事を子供のようだと馬鹿にして笑ってるんだろう。

奈緒さんは他のみんなとも仲が良く、さっきの店で伊坂さん達にバイトが終わったらカラオケに合流しないかと誘われていたようだ。

彼女が来る事を知っていたら、何か理由をつけてでも先に帰っていたのに。

その後は、約二時間ただひたすらみんなの歌を聴きながら居心地の悪さに耐えた。

伊坂さんの何か聞きたげな視線を感じたり、奈緒さんからの敵意の篭った視線を感じたりしながら。

いつもなら、テンションが上がるカラオケの時間がこんなに辛く長く感じたのは初めてだった。

カラオケを出て、駅までの短い道をみんなで歩く。

終電に近いこの時間、もう終バスは出た後だった。




< 120 / 127 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop