彼の笑顔に出逢いたい
結城さんが言い終わらないうちに、奈緒さんが私に聞いた。


「花乃ちゃんの家は?」


私が答えようとしたのに、それよりも早く結城さんが答えた。


「こいつは俺と同じだから。」


奈緒さんの綺麗な顔が一瞬、悔しそうに歪められた。

だけど、それに気づいたのは私だけだったと思う。


「…そう。」


そう呟いた奈緒さんのすぐ隣に、戻ってきたばかりのタクシーが停まりドアが開けられた。

1人だけ別方向の奈緒さんを先に帰らせるため、結城さんが彼女をタクシーに乗るように促した。


「おやすみなさい…」


そう声をかけた私に奈緒さんは無理やり貼り付けたような笑顔を向けて帰っていった。




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