【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「──っ、彼方!」
用務室のドアは開いていて、中に入ると彼方が驚いた様子で私を見た。
その両手には重そうな段ボールと紙袋を抱えている。
今からこれを運ぶ気なのだろう。
一人で。
「そんなの一人で無理に決まってるじゃない! 私も手伝うから段ボール貸して!」
「……柚月、なんで」
「鬼龍院くんに聞いて来たの。もう、私に言ってくれれば運んだのに!」
「柚月には、これまでたくさんやってもらったし……これぐらい俺がするから」
「彼方……でも!」
「いいから。一人でする、から」
そのまま、用務室を出る。
荷物を持ったまま器用に鍵まで閉めて、彼方はゆっくりと歩き出した。