【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



「……財布持ってくるの忘れちゃった……これじゃあ、なにも買えないよ」


見事に手ぶらで教室を出てしまった私は、どうしようもなくトボトボと一人歩いていた。


このまま教室に戻る……のは、なんだかなぁ。

まだ彼方の周りにはたくさん人がいるだろうし……。


「おや、近衛さん」

「あ、真壁先生……って、凄い荷物ですね」


目の前から歩いてきたのは真壁先生その人だ。


両手で抱えるほどの大きな段ボールと、そのまた上に小さな段ボールが二つほど乗っており、あれじゃあ視界だって良くないだろう。


「運ぶの手伝いましょうか?」

「宜しいんですか? それはとても有り難いです。では上の小さな段ボールをお任せしてもいいでしょうか?」

「これですね。よっと」


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