【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。



小さな段ボールは思ったよりも軽く、二つくらいなら、私でも十分運べるだろう。


「これどこに運ぶんですか?」

「とりあえず用務室に置いておこうかなと」

「用務室ですね、分かりました!」


ちょっと距離があるのは面倒だけど、あのまま先生を見過ごすわけにもいかなかったし。


「でも近衛さん、本当に宜しかったのですか? どこかに行く途中だったのでは……」

「実は売店に行こうとしたんですけど、財布を教室に忘れちゃいまして……」

「おやおやそれは」


人通りのない廊下を、先生と二人で歩く。

先生はおっとりとした話し方で、一緒にいると凄く落ち着く感じだ。


「そういえば、この前のテストは凄く良い点数でしたね。一色くんと残って勉強してましたもんね」

「はい! いやもう彼方……一色くんって凄く教えるの上手で!」

「そうですかそうですか。一色くんも、最近は凄く人気者ですし、そろそろ先生の人気を超えられそうです……困りました」

「テストをもっと簡単にしてくれたら先生の人気も急上昇だと!」

「あ、では諦めましょう」

「諦めるの早くないですか!?」


そんな冗談を交えつつ、私と真壁先生は用務室を目指した。


< 81 / 416 >

この作品をシェア

pagetop