【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
小さな段ボールは思ったよりも軽く、二つくらいなら、私でも十分運べるだろう。
「これどこに運ぶんですか?」
「とりあえず用務室に置いておこうかなと」
「用務室ですね、分かりました!」
ちょっと距離があるのは面倒だけど、あのまま先生を見過ごすわけにもいかなかったし。
「でも近衛さん、本当に宜しかったのですか? どこかに行く途中だったのでは……」
「実は売店に行こうとしたんですけど、財布を教室に忘れちゃいまして……」
「おやおやそれは」
人通りのない廊下を、先生と二人で歩く。
先生はおっとりとした話し方で、一緒にいると凄く落ち着く感じだ。
「そういえば、この前のテストは凄く良い点数でしたね。一色くんと残って勉強してましたもんね」
「はい! いやもう彼方……一色くんって凄く教えるの上手で!」
「そうですかそうですか。一色くんも、最近は凄く人気者ですし、そろそろ先生の人気を超えられそうです……困りました」
「テストをもっと簡単にしてくれたら先生の人気も急上昇だと!」
「あ、では諦めましょう」
「諦めるの早くないですか!?」
そんな冗談を交えつつ、私と真壁先生は用務室を目指した。