俺の恋女房になれ
「長期戦だな。君の心は誰のものでもない。今はね。俺にとってそこが重要だ。」

「インテリっぽいところがあるのね。私が欲しいなら手っ取り早く手を出せばいいのに。」

「それじゃダメなんだ。そんなキレイな顔をしてなんてことを言うんだ。俺を誘うな。自分を抑えられなくなるだろ。」

「あなたも素直じゃないのね。そんな無理しないで、体に毒だと思うけど。」

相川さんはムッとしていた。

「そんな言葉を聞きたいんじゃない。」

「あなたは自分の理想の女を私に当てはめているだけ。現実の私を見ていないのよ。」

「いいや、俺はちゃんと見ている。」

「嘘よ。そんなキレイな理屈ばかり言わないで。いつだって本当のことを言ってくれないじゃない。いつ来ても、いつ会っても何もないじゃない。違う?」

「琴乃、今言ったこと、本当だな?」

私はプイッと彼に背を向けた。

「黙っていたらわからない。こっちを向くんだ。俺の目を見て。わからないなんて言わせない。」

彼はそっと私の肩に触れて私を自分の方へ向き直らせた。

私は気まずくて下を向いたままだ。

私が話すまで辛抱強く待ってくれた。

「あなたが好きだから。自然にあなたを好きになっていたから。だから抱かれたいって自然に思ったの。」

相川さんはがっしりとした胸に私をそっと抱き寄せた。

「琴乃、言ったな。たっぷり可愛がってあげるから覚悟した方がいい。」

「いつ抱いてくれるの?」

「はあ?心の準備ってものはないのか?そんなに今すぐ俺が欲しいのか?」

「ダメなの?」

「はっきり言っておくが、先に好きになったのは俺だ。」

「それが問題なのかしら?」

「いや、そうじゃなくて、言い直すよ。俺の恋女房になってくれないか?」

「なったらどうなるの?」

「死を分かつまでそばにいる。」

「すごいことをさらりと言うのね。」

「すごいことでもなんでもない。ごく普通に思うだけだ。」

「普通はそんな風に言わないと思う。」

「俺にとっては普通だ。」

「そうなの?」

「とにかく、朝までここに突っ立って話している気か?」

「相川さんの話が長いからよ。」

「そうだな。直すよ。」

「そのままでも好き。」

私は彼と朝まで見つめ合う時間と寄り添う時間を共有した。


< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:16

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

僕は余りにも  君を愛しすぎた

総文字数/15,222

恋愛(純愛)38ページ

表紙を見る
最も危険な  ルームシェア

総文字数/33,051

恋愛(その他)94ページ

表紙を見る
俺の魂を狂わす女

総文字数/16,992

恋愛(オフィスラブ)43ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop