こっち向いて笑って、先輩!
目の前に立つ如月先輩は、500mlのペットボトルを私に差し出していた。
「えっ?」
先輩が自分から私に話しかけてくれていることにも驚いているけれど、どうしてこれを私に差し出しているのだろうか。
水滴が少し付いていて、買ってほんの少し時間が経っているのがわかる。
「やる」
「えっ?」
どうしよう、私、大好きな先輩に話しかけられているのに、今のところ「えっ?」しか言えてないよ。
でも、それくらい意味がわからないのだ。
「こ、これ、私にくれるんですか?!」
「さっき椅子運ぶの手伝わせたし」
「それは私がやりたいって駄々こねたから!」
「いいから、早く」
先輩は、ん、とペットボトルをさらにこちらに差し出した。
そんな……こんなことがあっていいのだろうか。