こっち向いて笑って、先輩!


「浅田さん、料理上手いんだ」


さっきまで私の手元を見ていた如月先輩の目が、正面のみっちゃんに向く。


「うち両親家にいないこと多いから仕方なくやらないといけない状況だっただけで。下に兄弟多いし。だからおしゃれなものとかは作れないけど、こういうものだったら」


「えー!じゃあ澪南ちゃんと付き合う人はこれ食べられるんだ!いいなぁ!まぁ、料理ができるできない関係なく、俺は澪南ちゃんが好きだけどね!」


すごいな野村先輩。
どストレートすぎ。


あ、いや、如月先輩から見たら私もこんな感じなのかも。先輩はやっぱり、料理できる女の子の方が好きなのかな。


ちらっと横目で如月先輩の横顔を確認して、その首筋を滑る汗にまたもキュンとしてしまった。
好きな人がかっこよすぎて辛い。


「ちょ、近い。もう少し離れて暑い」


「え?何?俺が隣にいて火照ってるのかな?!」


「ほんと無理なんだけど。あ、よかったら如月先輩も食べてください。多分今の桃、あんまり食べられないと思うし」


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