こっち向いて笑って、先輩!
「あ、そうなんだ…大丈夫だよ。おばあちゃんのところ行ってきてあげて」
「ほんとありがとうっ!ごめんな!」
真壁くんは多分、嘘をついている。
そんなことわかってる。
ごめんなんてこれっぽっちも思ってないことくらい。
さっき、職員室に来る前にクラスメイトの男子に「後でな」と言いながらクスクスと笑っていたから。
やりたくないのはまだいいとして、おばあちゃんの名前を嘘のために出さないでよね。
そして私は真壁くんに嫌われるのが怖くて、大丈夫、なんて言っちゃうんだ。
急いで教室に向かう真壁くんの背中を見送って、私は一人、学級旗がある倉庫へと向かった。