こっち向いて笑って、先輩!
「う〜わ。意外とおっきいじゃん」
倉庫に入って、ため息混じりでそういう。
目の前には長い棒に真っ白い布がついた旗。
それが、1本綺麗に置かれていた。
多分私のクラスが最後か。
それにしても大きいな。
この巨大な旗にクラスでオリジナルのイラストを描くのが、うちの体育祭の伝統らしい。
これ…どうやって運ぼう。
どう見ても一人では持てない。
旗の布だって普通のに比べて圧倒的分厚いし。
でも…真壁くんは帰っちゃったし。
1人で持つしかないよね。
まぁ、私が真壁くんを引き止めていたらこんなことにはならなかったんだけど。
自分のお人好しな性格がまた嫌になる。
心の中でため息をついて、旗の棒に手を伸ばした瞬間──────。
ガチャ
っ?!
倉庫のドアが開く音がした。