こっち向いて笑って、先輩!
あれじゃ目立ってしょーがない。
あの時もそうだった。
高くて欲しい本が届かなかったのか、必死にぴょんぴょんと跳ねながら、制服プリーツスカートを揺らして。
あの日、彼女の後ろ姿を見たとき、キラキラと輝いて見えたんだ。
まるで吸付けられるかのように、彼女の方へと歩いていく自分がいて。
多分、俺はもう、あの時からきっと────。
いや、この話はもう少し後になって、来原に話してやろう。
今話したら、はしゃぐに決まってる。
初めて彼女にあった時と全く同じ動きに思わず笑みがこぼれるのを、手で口元を隠すようにしてから、彼女の方へと近づく。
「来原」
「はっ!きっ、如月先輩っ!」
そろそろ普通にしてくれて構わないのに、彼女は、俺が呼ぶと毎回嬉しそうな顔をしてこっちを見る。
「驚き過ぎだから」
「そ、そりゃびっくりしますよ!静かに背後現れるんですもん」