こっち向いて笑って、先輩!
「先生が定期的に片しておけば私がこんなことすることなかったのに」
ボソボソと文句を言いながらガラクタを持って教室を出る。
だいたい、こんなこと女子に頼まないでしょ!
何が、来原しかいなかったよ。
どうせ私は都合のいい女ですよ……。
テクテクと少しだけ早歩きをしながら美術室に向かう階段を降りる。
一階の、日当たりがあまり良くない場所にあるそこは、まだ外は明るいっていうのになんだか薄暗く感じる。
人が居る気配もないし。
そういえば、うちの美術部は天気のいい日はよく外で絵を描いているって聞いたことあったっけ。
そりゃ人がいないわけだ。
美術室を少し通りすぎて、すぐ、『倉庫』とだけプレートが貼られたドアを見つける。
やっぱりわかりづらい。
開かずの間っぽいよなぁなんて、一人で変なことを考えたせいで少しだけゾワっとしてしまう。
あぁ、バカバカ。何を変なことを。
先生から預かった倉庫の鍵を鍵穴にさすと、ガチャッと重めの音がした。