私と結婚してください。
ってことで急いでピョコピョコすること数分、普通科に入れば優しい優しいみんなが私を椎依に間違える。
おい。希依だってば。前もあったぞ。
「椎依は怪我なんかしてないでしょうが!!」
まったく。みんなして失礼だな。
高梨姉妹の残念な方も、どっかの世間知らずの御曹司によって垢抜けされたんですよ。
久しぶりだからって、みんな顔の判別できるくせに椎依と間違えないでよね。
「あはは、ごめんごめん!
だって希依がいるなんて思わなかったんだもーん」
・・・ま、私がこっちにいることはかなり減ったからな。何となくわかるから許してあげるけどさ。
まったく。
「っていうか足どうしたの?」
「・・・階段から落ちたの」
「うわ、だっさ!やば!
ましで言ってる?階段から落ちたの?え、何歳?爆笑なんだけど」
……なんか、やっぱ普通科っていいな。この適当な会話。私がそんな事言ったら神楽のみんななら
『一人でなに言ってるの?』
なんて失笑されるよ。
「でも死ななかっただけさすがでしょ」
「あー、それな」
・・・こんな会話、竜司くんとでもできないよ。
あの人言葉のチョイスがおかしいしな。
「ってかここでなにしてんの?」
「あ、速水と約束」
「うわ、デートか」
「速水とデートって。それこそ爆笑でしょが」
「確かに。
じゃあ私部活だからまたね~」
あー…、やっぱ普通科いいなぁ…
もうね、空気が違うんだよ。温度が違う。
戻りたいなぁ……
……無理だけど。