私と結婚してください。



「…ところで、そんなことしてまで私と観覧車って、なにか大事な用でもあるの?」

「ないよ」

「はぁ!?」


ないよ、って…
即答かよ…いやまぁ、伊織くんらしいけど…

私の憧れ観覧車を…


「ないんだけどさ
なんか俺だけあんま希依ちゃんと話せてないなぁって思って」

「え?…そう?」

「そうだよ!
竜司も頼も希依ちゃんとけっこう喋ってんじゃん!
俺だけいっつもゲームのときとかだけじゃね!?」

「あー…、まぁ確かに…」


そんなこと気にしてたのかな…?


「だから俺も友達として、1回ゆっくり希依ちゃんと話したかったんだよね」

「…そっか。なんかそれ、ちょっと嬉しいんだけど」

「いや、もっとそこ喜べ!!」


確かに伊織くんとは大抵言い合いか、ゲームで盛り上がってるときか…
本当にくだらないことでしか喋ってこなかった。

それをどこか、寂しいって思ってくれてたのかな。
もっと私のこと知りたいって思ってくれてたのかな。

…そしたら、嬉しいな。


「俺さ、希依ちゃんが神楽にきてから毎日すっげぇ楽しいのね。
あいつら3人のことはもちろん大好きなんだけど、希依ちゃんきてから新しいことばっかで。

希依ちゃんとは言い合い多いけど、それすら俺には初めての体験で。

だからいつもありがと」


「いやなんかそんな直球に言われると照れるんだけど…
…でも、私も伊織くんがいてくれたから馴染めたのも早かったと思う。

だからありがと」


「いえいえ、どういたしまして」


ありがとう、か。
そんな当たり前のことなのに、伊織くんは私に感謝してくれてたんだ。

なんだかあの伊織くんがそんなこと言うなんてくすぐったいけど…
素直に嬉しいから、照れてちゃダメだよね。


「…あと俺、他にも話があって」

「話?」




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