私と結婚してください。
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「ありがとうございました~。」
……結局本当に全部買ったし…
なんなの、こいつ…
「なんでお前はそんな不機嫌なわけ?」
「…あなたみたいな買い物の仕方、初めて見たから。」
「はぁ?
いちいち選んでたら時間の無駄だろ。」
「……そうね、忙しい人からしたらそうかもしれない。
だけどあなたは学生じゃない。
そんな急ぐ理由はあったの?ないでしょ。
お店にとってはいいかもね。いいお客様よ。
でも、あの買い方はあの服たちをデザインした人、あの服を作ってきた人に失礼だと思う。」
「は?」
「着られればなんでもいい、みたいな買い方。
デザインのいいところなど見ることもなく買う買い方はひどいよ。」
「それは着るお前が見つけろよ。」
「あなたは本当に自分のために私の服を買ったのね。」
「はぁ?」
「じゃなきゃ、あんな買い方はしない。」
私のために買うなら、私が着たこのワンピースにもっと意見をくれるでしょう?
私のために私に似合う服を探すでしょう?
そうしないあなたは
私をただの装飾品としか思っていないんだよね。
高いもので身を包んだペットなのよ、私なんて。
似合ってるとか似合ってないなんて関係ない。
自分のペットが安っぽくては困るから
たったそれだけの理由で、あなたは私に服を買ったんだ。