私と結婚してください。



それからすぐ、頼くんの家の前に車が着いた。


「ふぅ…」


今日は気合十分な伊織くんがなんだか少し面白くて

「こら!なに笑ってんだ!」

思わず笑ってしまった。


「ごめんごめん
伊織くんが面白くて」

「どういう意味だこら」

「うるせぇ。人んちの前で揉めんな」


そう言いながら、凰成はさっさとインターホンを押した。


「はやっ!!」

「お前ら待ってたら夜になるわ」

『どうぞ、中へお入りください』


……え?


やいやい言い合っていると、今度は勝手に門が開いた。

いや、中から開けてくれたのか…


「……どういうこと?
昨日は門前払いだったのに」

「さぁ…とりあえず入るぞ」

「あ、うん」


中に入ると、開いた玄関には
頼くんのお父さんが立っていた。


「立ち話もなんだし、今日は中で聞こう」

「あ、はい」


…なに、急に
昨日とは違いすぎ…

なんか逆に怖い…



「こちらを」

「ありがとうございます」


当たり前かのように、家政婦さんらしき人が私たちにスリッパを出してくれた。


そして通された部屋はきれいな畳が一面に敷かれている、とっても広い和室だった。


「どうぞ」

「…失礼します」


用意された3枚の座布団。
予め用意されていた点だったり、まだ16時なのにすでに家にいた時点で
完全に、待たれてたなと推察される。

…でも、どうであれ
ちゃんと私たちの話を聞いてくれる姿勢に、感謝しなければならない。
だって昨日は全然そんなんじゃなかったから…


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