私と結婚してください。
「また、頼のことか?」
「はい」
「言っておくが、今日招き入れたのは前向きな話し合いをするためじゃない。
何度も来られては迷惑だから、今日言いたいことは全部聞こう。
それで最後にしてくれ」
「……じゃあ、最初から結果は決まってるんですね」
「当たり前だ」
…なんだ、それ。
じゃあこの時間って無駄以外のなにものでもないではないか。
「希依。
話すだけ話そう」
そんな私の考えが凰成に伝わったのか、凰成は私にそう言った。
「……そうだね」
「おじさん!「伊織くん」
「……はい」
おいおい、いきなり話さえぎられてるじゃんか。
それでいいのかよ、伊織くん…
「君には感謝している。
頼は伊織くんといるといつも生き生きしている。
君とはもう長い付き合いだ。
なにも言わなくても、君がどれだけ頼のことを大事に思ってくれているのか、全てではないと思うが、これでもわかっているつもりだ。
だから神楽がなくなったとしても君との縁を切ろうとは考えていない。
そもそも、瀬戸さん、吉良さん、神崎さんとは家族ぐるみの付き合いだ。
たとえ学校が違ったとしても関係は続いていくだろう。
それではダメかね」
…それ、完全に私は仲間はずれじゃん。
そこに私の枠は一切ないじゃないですか。
私の存在は無視ですか。
「……それではダメです」
「どうして、伊織くんはそこまで…」
「確かに、俺らの関係は続くかもしれません。
でも、ここにいる希依ちゃんは確実に、頼を成長させた一人だから
頼にとって希依ちゃんは絶対に必要な存在だから
…だから、俺らだけじゃだめなんです。
それに、俺にだって希依ちゃんは必要だから。
希依ちゃんは俺らの仲間です。もう絶対に抜けてはほしくない、大事な仲間です。
神楽がなくなって、接近禁止になったら、
俺らは希依ちゃんに近づけなくなる。
…そんなん、絶対いやなんです」
「それは、ただのわがままなんじゃないのかな」