私と結婚してください。



それからしばらくして私は眠ってしまい、120分はあっという間すぎた。
終わって受付に戻ったころには、凰成ももうそこにいて

すぐに車へと乗せられた。


「もう終わりかぁ」

「希依ちゃんこれから美容室でしょ?」

「あ、はい」

「じゃあまた夜だね!」

「はい。また」


楽しい玲子さんとの時間も終わり。
今度は美容院!
ここで凰成の身支度もするけど、完全個室なため完成するまで会うこともできない。

こんなおしゃれで高そうなとこ、本当に私なんかじゃ似合わないよなぁ…


「今日はなにかあるの?」

「え?」

「今日は華やかにしてくださいってオーダーだったから」


担当のお姉さんは、そんなことを聞いてくる。
ここにくるといつもこのお姉さんで、なんでも話を聞いてくれた。

凰成と付き合う前の、恋愛相談までね…
もっと前、凰成が嫌だったころのことまで。

美容師って、本当コミュニケーション能力高いよな…


「…あの、知らない人とうまく話せるコツってなんですか?」

「え?」

「お姉さん、いつもどうやってお客さんと話してるのか気になって…」

「私はー…
んーと…あの、あんまり真剣にならないことかな」

「え!?」

「適当でいいのよ、適当で。
あまり深くしろうとしない。
適当にその場しのげばオッケー程度にしか考えてないの。

そうやって、回数詰んでいく。
毎回真剣に考えてたら、どこまで聞いていいのかとかわかんなくなるよ?

「……そっかぁ」


深く考えなくていい、か。
そうだよなぁ。

もし頑張って考えても残念がることなくなるもんな。そういうのは。


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