社長、僭越ながら申し上げます!
変化
その日から早いところ部屋を見つけようと

次の日部屋に帰ると賃貸情報を検索する

(ここは帰り道が暗いな…夜道危ないし
ここは家賃が高すぎる…)

中々妥協できそうな所がなく難航していた

空き巣被害にあった事から
やはり少しは安全な場所がいいだろうと考えたのだ

「うーん…」

それでも諦めるわけにはいかない

湊さんが晴れてカエさんと一緒になるためには

(私がこの家に居たらダメだ)

時計は23時を指して、そろそろ湊さんが帰宅する時間だったので私は迎える準備をした

昨日は祝賀会で疲れきっていたから…
胃に優しい鮭粥を作ってみた

そうこうしているうちに

「ただいまー」

湊さんが帰宅する

「お帰りなさい湊さん…夕飯どうされます?」

「うーん…晩酌したい気分…ん?これ何?鮭…」

キッチンを覗いた湊さんが焼き鮭の皮を見付けた

「あ、今焼いたんです…解して粥にしたんですけど…召し上がりますか?」

すると目がキラキラして

「食べたい!急いでシャワーしてくる!あ、お茶も頼んでイイ?」

すごく嬉そうにバスルームに駆け込んで行った

(あれ…鮭好きなのかな…)

早く離れなければと思うのに

10日間…湊さんと過ごして行くうちに

どんどん湊さんが私の思考を支配していった

明日は休日、約束通り1日ご飯を作ると言うことで
今からレシピを検索していこう

(湊さんは何が好きなのかな?)

10日間見てきて
どうやら魚が好きそうだと知った

洋食より和食好き

でも美味しいパンも好き

お酒もかなりイケる方で…外の会食でも
昨夜の祝賀会でも顔色ひとつ変えずに飲んでいた

やがて湊さんはシャワーから出ると濡れた髪のまま現れた

「うわぁ…旨そう…頂きます…」

レンゲを持ってふーふーしながら食べている

そんな様子は無邪気で可愛らしいのに

濡れた髪の毛から覗く目が色っぽくて
…つい目を反らしてしまう

「乃菊……すっごい美味しい…有り難う」

「いえ、ただ鮭焼いただけですから…」

「それでも。オレ嬉しい…やっぱり
乃菊が好きだよ…」

湊さんはまた私に好きだと言う
でもそれは…

(きっとペットへの愛みたいなものなのだろう)

「有り難うございます」

私はその気持ちに感謝する

怖い思いをした時に助けてくれた…
だから湊さんは私のヒーローなんだ

なのに…湊さんは不満そう

「有り難うなんていらないけど…
『大好き、湊さん』がいい…」

「いや…それは…」

犬にお手をしてほしいみたいな感覚なのかな?










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