気まぐれ猫くんの手懐け方

その先を、言わないで


*猫助side*


何食わぬ顔で、ローファーを履いた。


「じゃーね、日下部チャン。電柱に頭ぶつけて帰らないようにね」


そう言って、あいつを見れば、見事に固まっていて思わずまた噴き出してしまいそうになって。

それ以上顔が緩む前に、前を向いて歩を進めた。


外に出れば、生暖かい風に包まれて。

もうすぐ来る夏を感じさせるには十分で。

近くのグラウンドからは、野球部や陸上部の声が聞こえて。


熱血とかそういう、暑苦しいのが苦手な俺は。

もちろん部活なんてしないし基本誰ともつるまない。


1人が一番楽なんだ。


……なのにどうだ。


俺の隣の席の女……クラスの委員長さんときたら。

うざいし必要以上に絡んでくるし暑苦しいし、勝負事になるとめちゃくちゃ熱血だし一生懸命だし。


超がつくほどの俺の嫌いなタイプだ。

すごい。

俺の嫌いなもの全部そろってる。




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