気まぐれ猫くんの手懐け方

「あーっと、彼女ができた君に質問したいんだけど」

『あ?』

「……初デートで、女の子が喜びそうな場所がわかんなくて」

『……別にどこでもいいだろ、そんなの』

「やーマジでほんと、容赦なく突き落としてくる感じ変わってなくて嬉しい俺」


あまりにも、そのすがすがしいくらいの口の悪さが変わっていなかったため、遠い目をしながらそう言えば。


『好きなんだろ、誰だか知らねーけど』

「え」

『だったら、どこ連れてくかじゃなくて、どうやって笑顔にさせるか考えてやれ』

「………」


がつんと、頭を殴られた感覚に陥る。


『何黙ってんだよ』

「……なんか、ありがとう、初めて見直したかも」

『ああ!? ケンカ売ってんのかてめえ!!!』

「じゃーね、彼女さんとお幸せに」

『うっせえ言われんでもなるわ!!』


スマホから耳を離しても十分すぎるくらいでかい声のあと、電話がぶっつんと切られた。

なんか雑誌とかネットよりも参考になった気がする。

……けど、結局。


「……どこ行くんだよ、俺……」


< 216 / 273 >

この作品をシェア

pagetop