気まぐれ猫くんの手懐け方

「それってさ」


下を向く陽愛の顔をのぞき込むようにして話しかける。


「俺とのデートの為に、頑張ろうとしてくれたってこと?」

「……え」


俺の言葉を聞いて、陽愛はきょとんと目を丸くした。


「頑張ってくれたって事でしょ? 俺に少しでもかわいいって思ってもらいたかったってことでしょ?」

「……な、え…ね、ねこく……」


みるみる真っ赤に染まる顔。

出た、陽愛の得意な顔芸のうちのひとつ、『ゆでだこ』。


「似合ってるとか似合ってないとかじゃなくて」

「……」

「嬉しい」

「~……ッ!!?」


自然と顔が緩む。


あの陽愛が。


俺のことを考えて、ガラにもなく少しでも可愛くなろうと努力しているところを想像しただけでにやける。



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