気まぐれ猫くんの手懐け方

「せっかく二人なのに、その…玲央くんの、話…」


猫くんの足が止まる。

その数歩先で、私も足を止めた。

空はすでに、夕焼け色に染まっている。


「いや、」


『バカなの?』とか『そういうとこ、デリカシーないよねほんと』とか

いろいろチクチク言われるんだと思ってたけど


「陽愛が楽しくなきゃ、意味ない……し」


きゅんっ。


なに、それ。

猫くん、どうしちゃったの?


もしかして今日一日中、私のこと楽しませようと必死になってくれてたのかな?

そう、うぬぼれちゃっても、いいのかな…?



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