気まぐれ猫くんの手懐け方

「猫くん、ずるい。 この間は困らせるより笑顔にさせたいって言ってくれてたのに」


私がそう言えば、猫くんはぺろっと下を出した。


「ごめん、やっぱり」

「……?」

「俺、好きなコのこと、困らせたい男のコなのかも」


自分のほっぺを、私にすりすりしてくる猫くんは、本物の猫ちゃんのようだ。



「さ、やるよ」

「え、でも」

「花火、行きたいでしょ?」

「だけど……」


教えてもらうごとに、き、き……


「何、本気にしてるの?そんなことしなくてもたくさんキスしてあげるよ?」

「なぁ……っ」

「だからほら、がーんばって♪」


私は渋々机に向かうが……



その後何度『バカなの?』と言われたか。



―――10回から先は覚えていない。


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