私の大好きな名前
「由美、好きなんでしょ。光君のこと………」
ーーーーーードクン!
親友の理沙に見事に私の片思いの人を見破られ、心臓がドクンと跳ねた。
「ど、どうして分かったの………?」
私は白い頬を赤らめながら、小声で訊いた。学校の帰り、いつも私たちは近くの公園に寄って、こーいう世間話をする。それが、なぜかとても懐かしく感じる。
「簡単だよ。ずっと、光君のことを見てるんだもん。」
理沙の言ったことは、正解だった。私はずっと、彼のことを見ていた。未だに思い出せない、昔、どこかで聞いたことがあるような名前を彼から感じるから、一瞬で好きになった。
ーーーーーーどこで、聞いたっけ………?
そう考えていると、
「あっ!雪が降ってきた。」
と、隣にいた、理沙が空を見上げて言った。
「ヤバイ!ヤバイ!早く、帰ろ。由美。」
そう言って理沙は、慌てて公園から出た。
「ま、待って。」
私も帰ろうとすると、
「お前が待てよ、由美。」
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