愛すべき、藤井。
え………?
なに、今の。
「隙ありっ」
「おい!立花っ!!!」
私の腰にさり気なく腕を回した立花くんと至近距離で目が合う。
何が起きたのか、必死に頭を働かせて
理解した瞬間、
「〜〜〜〜〜っ!!?」
体がブァ〜っと熱くなって、一瞬呼吸の仕方を忘れた。
「そんな真っ赤になられると、もっとやってやりたくなるよね〜」
くすくす楽しそうな立花くんに言い返したいのに、あまりに自然な流れでデコチューされて、口をパクパクさせるしかない私。
「離れろ、立花!」
「藤井さぁ、今日ずーっと嫉妬してんだろ?」
「はぁ?」
「俺と夏乃のラブラブっぷりに、妬いてんだろ」
「……っ、俺は夏乃が心配で」
「何で?何を心配してんの?」
「……それは、お前みたいにチャラチャラしたやつに夏乃が傷つけられたら嫌だから……!」
ボーッとする頭の中で、藤井の言葉がやけに鮮明に聞こえる。……なんだよ、藤井。
そんなに私のこと心配してくれてたの?
心配しなくても私は大丈夫なのに。立花くんだって、私の反応楽しんで遊んでるだけだし、普段 2人で帰ってる時なんか、たまに女の子と電話してるからね、コイツ。
その子に彼女役頼めよ!って感じでしょ?