愛すべき、藤井。

『ダメ。俺と一緒は絶対ダメ』

「は?」

『俺なら良くても、アイツらにはダメな事があるってこと』

「……そ、それを決めるのは私でしょ」


一瞬、藤井のヤキモチに聞こえて、心臓が音を立てたけれど、きっと藤井は何も考えずに言ってるんだろうから


一々、気にしてたら負けだ。


『大体、いつまで続くんだよ!お前と立花の関係は』

「それは……確かに、いつまだだろう?ストーカーさんが納得するまで?」

『納得するっていつだよ、てか何を納得するんだよ!そもそも、今納得したって、お前と一緒にいなくなったらまた始まるんじゃねーの?ストーカー』

「……そうなのかな?ストーカーってそもそもよく分かんないから何とも言えないけど」


今日の藤井はやけに怒るなぁ。
ていうか、アホな藤井がまともな事言ってると調子狂うし。


ガンガン話す藤井に押され気味で、全然反論できないや。


『……っとに、後先考えろよ!お前が危ない目にあったらどーする気だよ』

「あ、それは大丈夫。立花くんが守ってくれるって言ってたし」

『……あー、もう!電話したら解決すると思ってたのに余計イライラしてきた』

「藤井?」

『はぁ……とにかく、明日は30分早く行くから!ちゃんと準備終わっとけよ』



またため息つかれた。
……どうしちゃったんだろう、藤井は。


藤井に短く「うん」と答えれば藤井は『おやすみ』とだけ言って電話を切った。


……おやすみって、初めて言われたかもしれない。
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