愛すべき、藤井。



藤井はもしかしたら、ウルトラ過保護なのかもしれない。私なんかにこんだけ過保護だったら、彼女が出来たら大変なんじゃない?って思う。


でも、口うるさければ口うるさいほど、


例えそれが友達としてでしかなくても、私のことを藤井なりに大事に想ってくれてるんだなって思えるから、嬉しかったりもするんだけどさ。



「あーーー、明日 藤井に抱きしめられたら、私今度こそ死ぬかも」


色んな意味で。


シンデレラなのに、藤井が演じる王子様は全然爽やかじゃなくて、むしろ俺様なセリフばっかり。


とくに、あのラストシーンなんて……。
思い出す度に恥ずかしさで頬がジワリ熱をもつ。


あんな小っ恥ずかしいセリフを、意外にもサラサラと口に出来るのは、藤井が何も考えてないアホだからなんだろうな。



明日は、思い切ってアドリブ言ってみようかな。私のアドリブに藤井が照れたら負け。


動じなかったら、私の負け。


伊藤夏乃としては、とてもじゃないけれど口に出来ないことも、シンデレラの立場でなら伝えられる気がする。



私は、これからもずっとあなただけを愛し続けます。


なーんて。

藤井がどんな顔するか見てみたいけど、
……言えるわけない、チキンだもん。



「夏乃〜?お風呂入っちゃいなさい!」

「はーい」


ママの声にベッドで飛び跳ねる。
まだ制服なんてバレたら一大事だ。


とりあえず、今日は明日に備えて早く寝ることにしよう。明日のことを考えると私の心はドキドキとワクワク……そしてほんの少しの不安が入り交じる。


藤井は今、何考えてるかな。
全然 藤井の気持ちが見えないや。
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