愛すべき、藤井。
「私が諦めるとか言いながら、藤井のこと全然何一つ諦められないの知ってて、私の気持ちバカにしてるんでしょ?
だから、だからこうやって、私の気持ち知ってて、他の女の子から連絡来てるってわざわざ報告してくるんでしょ!!?
どうしろってのよ!!藤井が私に求めてるのは『友達』でしかないんでしょ?なら、変に期待させるようなこと言ったり、優しくしたりしないでよ!
これからも友達でいてねって、言ったけど……もう、嫌だ。もう、友達でいる自信ない!!」
自分でも理不尽な話だ、と思う。
言ったあとに後悔する私の悪い癖は健在で、藤井はただ口を開けたまま、少し目を見開いた。
突然大声をあげた私に、楽しく歌ってた神田くんとうめも、ミュージックを停止して私へと視線を向ける。
もう、やだ。
もう……、全部やだ。
上手くいかないことを藤井のせいにした。
独りよがりで、バカみたい。
藤井の前で泣くことも出来ずに、必死になって唇を噛み締める自分に嫌気がさして、
私は逃げるようにカラオケルームを飛び出した。
分かってる。
藤井はきっと、追いかけて来てはくれない。