愛すべき、藤井。


みんな、俺より俺のこと分かってんのかよ。
なんてフッと小さく笑いが零れる。


ここまで来たら、認めないわけにはいかねぇよな。



「伊藤夏乃」



小さく呟いてみれば、胸がキュッと締め付けられて苦しくなった。



あーあ、さみぃ。
風邪引いたら、夏乃のせいだからな。


お前が一緒じゃねぇと、こんなに寒く感じるなんて初めて知った。


何に怒ってんのか分かんねぇから、謝りようがねぇし。避けんなよって言ったところで避けてないって言われるのがオチだ。



どーしたらいいのか、分かんねぇ。



やっぱ、愛想尽かされたってのが1番しっくり来んのかな。



夏乃との関係を、友達以上に進めんのは怖かった。今までアホみたいに2人で笑って、楽しくやってきた俺たちが、


今さら手繋いで歩いて、


キスとか……して、


もしかしたら、それ以上も……って、



考えただけで恥ずかしすぎだろ。
無理だろ。アホかよ。


って、確かに自分でもそう思うのに、


夏乃に俺とキスなんて想像出来ないって言われた時は、カッとなって、なら想像させてやろーじゃんって、


ちょっと脅かしてやるつもりだったのに。
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