愛すべき、藤井。
薄々そんな気してたけど。
それがリアルに起こってしまうと、人はなかなかにダメージを受けるんだなって勉強にはなったけど。
でも、あんまりだよ藤井。
「立花たちと?ふぅ〜ん……」
「なに、その顔」
ニタァと何かを思いついたらしいうめが、怪しすぎる笑みを浮かべて私を見るから、軽く寒気がするくらいには引いた。
なに、その顔。
気持ち悪いことこの上ないから、お気に入りの男子の前ではやめなよ、うめ。
「夏乃、阻止だよ!阻止!」
「へ?」
「私、立花の連絡先知ってるからさ!仕組んでもらおうよ」
「し、仕組むって……」
「へっへっへ〜♪♪夏乃ちゃんの大親友、この梅花に任せておきなさい!大船に乗ったつもりでいてくれて構わんぞ」
「いや、怖いし……え、待って詳しく聞いてからにする。やだ、怖い」
「私が信じられないわけ〜?」なんて言いながら、口を尖らせるうめに思う。
うん、信じられないようめ。
こういう時のうめは、ほんと何するか分からないから。絶対 絶対 『夏乃が藤井のこと好きだから、合コン阻止手伝って!』とかストレートなこと言いそうじゃん。
中学の頃の私と藤井の関係を知ってる立花くんには、少なからず私が藤井を好きなんて、知られたくないんですけど。