愛すべき、藤井。
なんて声をかけたらいいんだろう。
どうしたらいいんだろう。

そもそも、多分 藤井の頭じゃこの状況に頭が追いついていないこと間違いなしだけど。


何か言いたげな顔のまま、片手でチャリを支えて、泣きじゃくる私の頭にもう片方の手をポンッと乗せた藤井。



「……ごめん」

「っ……」


って、何じゃそりゃ。
『ごめん』??なに『ごめん』って。

何に対する謝罪?

無神経でごめん?

告白気付いてなくてごめん?

大してかっこよくもないのに、合コンなんか参加して、あわよくば彼女作ってサマーバケーション楽しもうとしてごめん?


それとも、なに。


「ごめん、夏乃……」


お前の気持ちは受け取れない、ごめん。ってやつ?しかも、1度ならず2度までも言いやがったな。


「……っ、」

「お、おい!夏乃!!」


気づけば勢いよく走り出していた。
ローファーがこの上なく走りづらいけど、そんなの今はどうだっていい。

スカートがめくれようが、パンツが見えようが、髪が乱れようがどうでもいい。


とにかく、もう限界だった。
藤井から少しでも離れて、遠くへ、遠くへ。

いつもはどんなことがあっても、最後は笑ってギャグにしてきたけどさ。今日はこんなに涙で顔ぐじゃぐじゃだし、さすがにギャグにするのは無理がある。

でも幸い、明日から待ちに待った休日だ。


「藤井のバカ野郎〜〜〜〜!」


月曜日までには、ちゃんとするから。いつも通りの私に戻ってみせるから。


だからどうか土日の間、私の泣き顔思い出していっぱい悩めばいいよ、藤井。
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