愛すべき、藤井。
金曜日、あんな別れ方をしたけど藤井のことだから今日になったらケロッと迎えに来てくれると思って疑わなかった私。


いつも私がチャリをこいで藤井を家まで送った次の日は、チャリを乗って帰った私が、藤井の家まで迎えに行くし、

逆にごく稀に藤井が私を送ってくれた次の日は、チャリを乗って帰った藤井が、私の家まで迎えに来てくれる。


そういうシステムだったじゃん。……だから、一緒に登校しない日なんて私たちにはなかった。

これと言ってルールがあるわけじゃないけど、自然とそれが当たり前になってたから。



でも、


「全然 来ない」


今日はいつもならもう藤井がうちに着いてる時間を過ぎても、藤井が現れる気配はない。


もしかして、金曜日に私が好き放題言い放った言葉たちを、藤井なりに受け止めた結果がこれ?


私との登校拒否?


おいおい。
ふざけんなって、藤井。
もうさ、本当にどうしょうもないやつだよお前は。


なら、せめてチャリだけでも置いてってよ!!私が歩きかよ!!!この真夏の日差しを体全体で受け止めて歩けって言うのかよ!!


そりゃないぜ、藤井。
お前ってやつは、なんてナンセンスなんだ。
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