雪の日 ~Cross Heart~
起きたくないけれど、冴えてしまった脳に眠りは訪れてはくれない。


しかたなくもう一度目を開けると。


「おはよう」


後ろから声がかかった。


寝返りをうつと、すでに目を覚ましていたらしい彼――光平が微笑んでいた。


どうしたんだろう。


ちらりと視線を窓に向ければ、カーテンの隙間から見える雪。


雪が降ってるのに、光平は窓に近寄るどころか、背を向けている。


今までにない彼の行動に、あたしは内心首をかしげた。




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