永久の誓いからの逃亡
「その瞬間、心をわし掴みにされた。
そんな気持ちになるのは初めてで戸惑ったけど、考えはハッキリしてた。

多少強引でも、彼女を手に入れたいと思った。

俺が海外で育ったせいかもしれないけど、助けが欲しいときには助けて欲しいと意思表示をしろと教わってきた。
それが当然だと思って生きてきた。

でも、それができない人だっているんだよな。
そんな人の存在に気がつけるっていうのは、かけがえのない優しさだと思ったんだよ」

じーっと見つめられる。
絡まる視線から言葉以上の熱を感じる。

…。

照れ隠しで、駿くんの肩に顔を寄せる。
自分の鼓動か、駿くんの鼓動か、わからないけど心臓を打つ音が耳に届く。

心地よさに目を閉じていると、駿くんの腕がのびてきた。
肩に回された腕が温かい。

こうやって大事に、優しく触れられるのが私は大好き。
とても落ち着く。

「ベット行こっか」

「うん」

駿くんは、私の質問に対して何でも答えてくれる。
答えにくい質問もあるだろうに。

もしかしたら今回だって、答えたくなかったかも。
でも、誤魔化すと私が不安になるのがわかってるから、話してくれたんだろう。

そんな優しさが愛しい。

隣で寝息を立てる駿くんに小さく声をかけた。

「ありがとう」
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