永久の誓いからの逃亡
「…でも、駿くんを傷つけてしまいました」

ようやく駿くんがどうしてるかに考えが及んだ。

なんで今まで、そこに思いが至らなかったんだろう。

「傷ついてなきゃおかしいだろ。

花嫁に逃げられて平気にしてたらやべーって。
あんたの旦那、あんたのこと大好きなんだろ?

それに、逃げ出した理由が、愛を確かめたいとか、本気の好きがわかんないとか、そんな軽いものじゃないんだからさ。

あんたの持ってる不安を、旦那にぶつけてやったら?」

「…重いって思われませんかね」

「はぁ?
バッカだな!

それくらい思わせろよ。
あんたが我慢ばっかしてるから不安になるんだろ!

駄目な所があってもいいんだって!
それが結婚ってもんだろ?

幸せじゃなくても寄り添えるもんなんじゃねーの?」

橘さんの言葉に、雷に打たれたように心が痺れる。

そうだった。

私が駿くんと結婚をしたいと思った1番の理由は、幸せになりたかったからじゃない。
駿くんと一生添い遂げたいと思ったからだ。

添い遂げて、一緒に過ごしていくなかで、信頼関係を深めていけばいいって思ったんだ。
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