永久の誓いからの逃亡
エレベーターで上がっていると、スタッフの男性の無線でのやりとりが聞こえてきた。

「新婦様を控室まで案内しています。
新郎様には、落ち着いて待っていただくよう伝えてください。
会ってすぐに混乱しないよう、配慮をお願いします」

そのやりとりが恐怖を掻き立てる。
叱られるだけじゃ済まないかもしれない。

ただ、どんなに会うのが恐くても、早く会いたい。
お願いだから、結婚しなきゃよかったなんて、思わないで!

切実に願っていると、無線から声が返ってきた。

「新郎様なんですが、新婦様を探すと言って、控室を出て行かれました!」

「なんてことだ!
それはまずいですね」

聞こえてきたのは、おそらく水野さんの声。
ただ、いつもの余裕のある声ではなくて、焦っていた。

駿くん…。

ポーンとエレベーターの扉が開かれた。
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