七瀬クンとの恋愛事情

「なんで、彼女の写メくらい持ってるでしょ?
ツーショットとかプリクラとか」


女子達の異常な食いつきに思わず引いた

「………そうゆうの嫌いみたいだから、向こうも忙しいし」


「忙しいって事はやっぱり年上?ねぇ、どこで知り合ったの?」

事務女子たちから一気に質問攻めになった

俺の知らない間に、勝手に相手は大手企業のキャリアウーマンだとか、はたまた国内線の客室乗務員だとか言われてたらしい

「だって七瀬くんって、仕事帰りにデートしてる素振りもないし、こうしてちゃんと飲み会にも参加してるから」

まぁ、確かにさり気なく同じ方向の電車で帰って倫子さん家デートしかしてないからなぁ

「今日は向こうも飲み会なんで、終わったら会う事になってんだよ」

「終わってから?」

「ああ、だから俺ここで帰るから」

そう言った俺を、横から古坂が「え〜っ」と不満そうに見上げてくる



「なんだそれ、付き合い悪りーぞ七瀬ぇ」

右隣の山下さんがいきなりガッと両腕で羽交い締めをしてきた

「せめて彼女の名前くらい教えろっ」

ぐりぐりと力任せに締め上げられる

「はっ、ちょっ、勘弁してくださいよぉ、別に関係ないじゃないですかぁ〜」

名前なんて言ったらすぐバレちまうだろ

「煩い言えっ、言ったら勘弁してやる」



「………り、す…ずっ……すずっス」

「は?」

「な、まえ………鈴さん」

羽交い締めされながら、苦し紛れにそう言った

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