七瀬クンとの恋愛事情
「…………あいつっ!(小声)」
さすがにそれはないよぉ名取さん、あなたはなんて話を……
名取さんってどこか脇谷くんに通じるものがあるんだよね、ギャルっぽい見かけと違ってじつは結構人に対しての観察力とか分析力とか鋭くて
たぶん藤間さんの信じやすい性質から完全に彼女を利用している感じがする
私のために藤間さんから七瀬くんを遠ざけるため?
……いや、ただ単に面白がっている節もある
「……………」
「わかった、もうこれは確かめてみるしかない。今日から七瀬さんの帰り、後をつけようっ!」
私たちの後ろで意を決したように藤間さんのお友達は彼女の手を取って立ち上がった
「一緒に行ってくれるの?それだったら…」
それって、今こうして聞いてなかったら完全にストーカーされてあっさり私たちの関係がバレてたって筋書きか……?
「そんなこと、必要ないよ」
私の横で屈めていた身体が痺れを切らしてスッと上がり、そのまま後ろで意気揚々としている二人の前に隠していた姿を晒した
「!!!」
………そりゃぁ驚くよね。散々話してた張本人がいるんだもん
「な、な、な、七瀬さんっ!」
「悪いとは思ったけど、話聞こえて出るにでられなかった」
さすがに言葉にならないほどの驚きの二人は、顔を下げ肩を窄めていた
「プライベートな事を勝手に噂されても困るけど、隠してるつもりもないのに気づかれないって言うのももどかしいんって言うか……」
首を振りながら呟くようにそう言った七瀬くんに、目の前の二人は顔を見合わせる
「?」