奏でるものは 〜功介〜


「俺が幸せに?

唯歌がいなくなったのに?

唯歌……」


唯歌と一緒にいることが、唯歌がいることが、幸せだった。

それなのに……


「唯歌は幸せだったんでしょ?
だから、これからの功さんの幸せを願っていたんだよ?

最期に姉が残した言葉に私達家族は救われたの。


功介さん、もう、自分を責めないで。

唯歌に感謝をしてほしい。

そして、あなたの人生が幸せであってほしい。




もう、タラレバの後悔はやめよう?」



唯歌は幸せだったか?

そうなのか?


「……なるべく、そう思うようにするよ」


顔をあげて、空を見た。


今、どこからか、見てるのか?
だったら、ちゃんと見てろよ。

なんとか涙を、止めた。



「戻ろう」

カオリちゃんが俺の腕をとった。





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