奏でるものは 〜功介〜


それから、唯歌の指輪のことをずっと考えていた。

俺が、持っているより、唯歌が持っていた方が良い理由……


今、手元に自分の指輪もない。

あの時、歌織ちゃんに渡したまま。


唯歌との繋がりが無くなったような、でも、墓に行けば、唯歌がいる。

居場所がわかったことで、ホッとしている自分もいる。


俺は生きていくと決めたから。


それでも、指輪のことで歌織ちゃんに連絡をすることは、まだできなかった。


返してほしい理由も強く言えないが、サイタ家に渡してしまう勇気もなかった。




そして、1ヶ月が過ぎた。




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